リボ払いの仕組みと危険性|知らないと抜け出せない「借金のループ」と債務整理の基礎知識
キャッシュレス決済が当たり前になった今、クレジットカードは日常の道具です。スマートフォンで数秒。支払いは完了。便利なのは間違いありません。
ただ、その裏側で静かに問題になっているのがリボ払い(リボルビング払い)による借金の膨張です。
最初は軽い気持ちだった。生活費の補填だった。あるいは少しの贅沢。ところが数年後、気づくと残高は数十万円、場合によっては100万円を超える。こうした相談は、法律事務所でも珍しくありません。
問題は、リボ払いの仕組みそのものにあります。見た目は「便利な支払い方法」。実態は、長期間の高金利ローンです。

リボ払いはなぜ危険なのか
クレジットカードの支払いには、一括払い、分割払い、そしてリボ払いがあります。
分割払いはシンプルです。購入ごとに回数を決める。12回なら12回で終わります。ゴールが見える。
リボ払いは違います。毎月の支払額だけが固定される仕組みです。たとえば「月1万円」。買い物が増えても、支払い額は基本的に変わりません。
ここが最大の落とし穴です。
毎月1万円しか引き落とされないと、人は安心します。「まだ余裕がある」と感じてしまう。ところが、実際には借金残高だけが積み上がっていく。
言い方を変えると、借金の増加が見えにくい仕組みになっているわけです。
金利は想像以上に高い
リボ払いの手数料は、実質年率で15%前後が一般的です。これは消費者金融のカードローンとほぼ同じ水準。
仮に残高が50万円ある状態で月1万円返済するとします。すると、その1万円の大半は利息に消えてしまうことが多い。元本が減るのは数千円程度というケースも珍しくありません。
元本が減らない。
だから利息も減らない。
結果として返済は何年も続きます。
気づいたときには、借りた額の倍近くを支払う計算になっていることもあります。
こんな状態なら要注意
リボ払いが家計を圧迫し始めると、いくつか共通した兆候が出てきます。
まず、カード明細を見ても「何の支払いなのか分からない」。
買い物が多すぎて記憶と一致しなくなる。
次に、毎月返済しているのに利用可能枠がほとんど回復しない。これは利息ばかり払っている典型的な状態です。
そして一番危険なのが、別のカードで借りて返済するパターン。
A社の支払いをB社のキャッシングで埋める。いわゆる自転車操業です。
ここまで来ると、家計はかなり危険な状態に入っています。

返済が難しくなったときの「債務整理」
借金が増えすぎると、「もう無理だ」と感じる瞬間が来ます。ですが、日本には借金問題を解決する法的な手段があります。それが債務整理です。
債務整理には主に3つの方法があります。
任意整理
もっとも利用者が多い手続きです。弁護士や司法書士がカード会社と直接交渉します。
ポイントは、将来の利息をカットすること。残った元本だけを3〜5年程度で分割返済する形にします。
裁判所を通さないため、手続きは比較的シンプルです。整理する借金を選べる点も特徴で、住宅ローンなどを除外することも可能です。
個人再生
任意整理では返済が難しい場合に使われる制度です。裁判所を通して借金を大幅に減額します。
一般的には、借金総額をおよそ5分の1程度まで圧縮できます。その金額を3年ほどで返済していきます。
最大のメリットは、住宅を守れる可能性があることです。住宅ローン特則を利用すれば、家を手放さずに他の借金だけ整理できるケースがあります。
自己破産
返済の見込みが完全に立たない場合の最終手段です。裁判所に申立てを行い、借金の支払い義務を免除してもらいます。
借金がゼロになる強力な制度ですが、デメリットもあります。一定額以上の財産は処分される可能性がありますし、手続き中は一部の職業に就けない制限もあります。
それでも、日本の法律が用意した正式な再スタートの制度です。
債務整理のデメリット「ブラックリスト」
債務整理を行うと、信用情報機関に事故情報が登録されます。いわゆるブラックリストです。
期間はおおむね5年〜7年。この間は新しいクレジットカードの作成やローン契約が難しくなります。
ただし、誤解も多い。戸籍に記録が残ることはありません。家族の就職や結婚に影響することもありません。選挙権がなくなる、という話も完全なデマです。
影響があるのは、本人の新しい借入れだけです。
借金問題は「数字」で判断する
リボ払いの問題は、人に相談しにくい。多くの人が一人で抱え込みます。
ですが、借金は感情の問題ではありません。単純に数字の問題です。現在の収入、残高、利息。それを計算するだけ。
もし3〜5年で完済できる見込みがないなら、無理に耐える必要はありません。その段階では、すでに個人の努力だけで解決できる状況を超えています。
そのとき頼るべきなのが、法律です。法テラスなどの公的相談窓口や専門家に状況を見てもらう。これが一番現実的な解決ルートです。
借金は人生の終わりではありません。
問題を放置することのほうが、はるかに危険です。
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